| 内容 | 現会社法 | 新会社法 | ||
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| 参照 | 法務省民事局「会社法」の概要より | |||
| 表記 | カタカナ分語体 | ひらがな文語体 | ||
| 設立できる会社 | 株式会社、有限会社、合名会社、合資会社 | 株式会社、合名会社、合資会社、有限責任事業組合(LLP)、合同会社(LLC) | ||
| 最低資本金 | 株式会社:1000万円、有限会社:300万円 | 1円から | ||
| 設立時の払込金保管証明 | 必要 | 残高証明で可 | ||
| 取締役の数 | 株式会社:3人以上、有限会社:1人以上 | 1人以上 | ||
| 取締役の任期 | 株式会社:2年 | 有限会社:制限なし | ||
| 会計参与 | 規定なし | すべての株式会社で設置可能 | ||
| 類似商号 | 不可能 | 可能(但し、商標登録されているものを除く) | ||
社会経済情勢の変化、対応の観点から、中小企業や新たに会社を設立しようとする者の実態を踏まえて、会社の利用者にとって使いやすいものにするため、2005年6月29日に新会社法が可決されました。
新会社法の要諦は会社設立の実態がこれまでの法律と見合っていないため、これを是正し、会社設立などの利用者の視点に立って改正されたものであると言えます。これまで、会社設立時に有限会社か株式会社かという選択がありましたが、その区分が撤廃されました。施行は2006年春になります。
従来は、株式会社の設立に際して、出資すべき額について、株式会社1000万円、有限会社300万円の資本金が必要でした。しかし、設立時の資本金の条件は新規事業者には負担が重く、企業にとって障害になっていると指摘されていました。世界経済のグローバル化が進行し、日本の経済力の求心力を失わないために、多くのアイデアを持つ人々が起業しやすいように、また実情と法が一致するように会社設立時の最低資本金制度が撤廃されました。これにより、資本金が1円の株式会社を作ることも可能となりました。
株式会社と有限会社の区別を廃止し、これに伴い有限会社法が廃止され、新たな会社法のもとで株式会社に一本化されます。今後は、有限会社は設立することができなくなります。また、現在設立済みの有限会社は「特例有限会社」として存続することになります。したがって、新会社法の施行以前に設立された有限会社は、特例有限会社として存続するため、定款変更、登記変更などの特別な手続きは必要ありません。
しかし、特例有限会社は通常の株式との区別を明確にするために、商号に関して「有限会社」という名称を使わなければなりません。新会社法により法律の実態は株式会社になっても、有限会社という商号を使うことになります。
新会社法の施工後、特例有限会社から通常の株式会社へと移行するためには、定款変更が必要になります。また、特例有限会社についての解散の登記をし、新たに株式会社設立の登記が必要になります。特例有限会社から株式会社への変更は義務ではありません。
特例会社から株式会社への以降のデメリットは登記の新規手続きが必要になります。また、株式交換、株式移転ができません。逆に、特例有限会社のままでいるメリットは有限会社法が廃止されるにもかかわらず、従来の有限会社の規定を受ける項目がそのまま引き継がれ、新会社法の規定の適用が除外される項目があります。そのなかでメリットとなるものは「決算報告に関する規定」、「役員の任期に関する規定」があげられます。特例有限会社は決算公告の義務がなく、役員の任期に関する規定が適用されないため、役員変更の登記手続きを省くことができます。
特例有限会社のままでいるメリット
特例有限会社のままでいるデメリット
特例有限会社から株式会社への移行手続き
特例有限会社が株式会社へと移行するためには、1.定款を変更して特例有限会社の定款で用いられている商号を有限会社から株式会社へと変更し、定款変更の決議から、本店の所在地においては2週間以内、支店の所在地においては3週間以内に特例有限会社についての2.解散の登記および、3.設立する株式会社の登記をすることが必要となります。
会計参与制度が新会社法のもと定められました。株式会社であれば、その売上高、資本金の程度にかかわず、定款の中で任意に会計参与を設置することができます。会計参与制度では計算書類(決算書など)の適正さを保つために、公認会計士または税理士の資格を持つ者と共同で計算書類を作成することを職務としています。この会計参与という制度は会社経営の健全性を確保し、株主及び会社債権者の保護を図るために設けられたものです。メリットは会計の専門家が決算書の作成に関与しているということで信頼が増します。
この会計参与という制度は株式会社における計算書類の作成は業務執行行為として、会社の取締役の権限に含まれているにもかかわらず、現状では顧問税理士が計算書類の作成に携わっていることから、明示的に株式会社の計算書類の作成を税理士・公認会計士の会計参与という機関に行なわせ、計算書類を取締役とは別に保管・開示する職務を担うことにしました。
また、この会計参与はどのような株式会社であっても会計参与を設置することを義務づけらているのではなく、任意で定款に定められることになっています。
会計参与の職務および資格
会社が資金調達の円滑化をはかるために、株式、新株予約権、社債制度に関して見直しがおこなわれました。株式の譲渡について原則として自由に行うことができますが、定款で株式譲渡の際に、会社の承諾なしには譲渡することができないとする定款を定めることができます。敵対的買収、M&Aによって会社の支配権を奪われないために、株式の譲渡に制限を設けることができます。つまり、会社が譲制限のある株式と譲与制限のない株式とを並存させることができます。
また、余剰金の分配の手続きの自由化が認められました。従来では会社が剰余金を株主に配当する場合、定時株主総会の決議に基づく配当(期末配当)と取締役会の決議に基づく配当(中間配当)の年二回しかありませんでした。今後は株主総会の普通決議による株主の配当が年に何回でもできるようになり、現物配当も認められることになります。また、新株予約権の償却対価として、株式を交付することを認めています。
注意: 上場している企業は株式の自由な売買という観点から、株式の譲渡について制限することはできません。
新会社法によって、破産宣告を受けて、復権してない者が取締役の欠格事項から外れています。これによって、一度破産した者も早急な再起が可能となりました。また、取締役の人数についても変更があり、取締役会を設置していない取締役の人数は一人で足りることになりました。
取締役の任期は、原則として、選任後2年以内の最終の決算期に関する定時株主総会締結の時まで、換言すれば、任期は2年間であり、監査役については4年間の任期とされています。この点は改正前と同じですが、変更点は株式の譲渡制限をしている会社は役員の任期を定款によって10年間に定められることができます。これによって、役員登記変更のわずらわしさが減るというメリットが生まれます。
株主代表訴訟において会社に対して訴訟を起こした株主が株主交換などが行なわれたことによって、会社の株主たる地位を失っても、消滅した会社の親会社の株主になるなど原告適格を失わないこととするほか、株主の不正な利益を図るための訴訟をすることができない規定を明確化するこによって、株主全体の利益を保護することを明確にしています。
株主の訴訟が制限される理由は、自らの不正な利益、第三者のための利益を目的とする不当な訴えを排除し、訴訟権の濫用を防ぐために明示的に規定されました。
有限会社が廃止される一方で、これまでの合名会社、合資会社のほかに、合同会社(Limited Liability Company、以下LLCと省略)という新たな会社類型が設けられました。合同会社(LLC)とは社員の有限責任を確保しつつ、会社内部の関係については、組合的なルール(原則として、社員全員の意見の一致で定款の変更および会社のあり方を決定し、社員自ら会社の業務の執行を行なうこと)が適用される特徴を持つ会社のことです。ここが株式会社との違いです。課税については株式会社と同様に、法人格をもっているため、会社に税金が課税されます。
この合同会社・LLCは企業の出資比率に応じず、定款によって、会社に貢献した人に利益を配分することも可能です。従来では出資した割合によって会社の利益が配当されると規定されているのに対して、出資はしていないが、実際に会社に利益をもたらした者も保護することも可能になります。
つまり、従来、出資をしたものが、会社の所有者であり、会社を自由にして利益を享受してきたのですが、企業に利益をもたらしている人が出資者と対等の立場で会社を経営することができます。アメリカでは株式会社と同じくらいに利用されている合同会社・LLCの日本版が新会社法によって可能になりました。この合同会社によって、出資する企業とデザイナーや、エンジニア、プログラマーなどの特定の分野の能力を有する人との対等な関係のベンチャー企業の設立が促進されるものと推測されます。お金を持つ出資者から知識や技術を持つ「人」への重視、事業を現実に行なっている人が会社の経営を担うスタイルがこの合同会社・LLCであると言えます。また、メリットとして、取締役や監査役の設置も義務付けられず、利益の配当が出資比率に依存しないこれまでにない自由度が高い事業形態であると言えます。
また、合同会社/LLCと並んで、有限責任事業組合(Limited Liability Partnership、以下LLPと省略)があります。有限責任事業組合/LLPは合同会社と同様、すべての構成員(出資者)が有限責任であり、なおかつ、意思決定方法や利益分配方法は構成員同士で自由に定められます。したがって、 有限責任事業組合/LLPも人的資産を生かす事業に適し、また、大学などの研究機関と企業、中小企業と大企業、専門的な能力をもつ人材同士とのジョイント・ベンチャーの促進が予想されます。
合同会社/LLCとの違いは有限責任事業組合/LLPは法人格をもたず、課税は構成員に対して直接、課税されることになります。
非居住者・外国人法人も有限責任事業組合/LLPの組合員になることができます。ただし、組合員全員が非居住者・外国人法人であることは認められず、最低一人、あるいは複数の企業が有限責任事業組合を設立する場合は最低、一社は日本国内の法人でなければなりません。
有限責任事業組合・LLPについてはこちらを参照してください。商号の使用規定について、従来、同一市町村において他企業が登記した商号は登記することができませんでした。今回の改正で新会社法のもとでは同じ住所でなければ、同一市町村内でも同じ商号が登記することできるようになりました。
たとえば、A市内にサクラ株式会社という商号が登記されていれば、A市内において他の人がサクラ株式会社という商号を登記することができなかったわけです。この類似商号規制の廃止によって、類似商号の調査などに手間暇がかからず、会社設立の手続きが簡略化されました。したがって、今後は同じ市内に同一の商号をもつ企業が存在することになるかもしれません。ただし、「不正競争防止法」によって、誰もがしっている企業名を登記することはできず、商標権を取得している場合には、同一商号を登記することはできません。